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CINE21 1371号  インタビュー全文和訳

CINE21 1371号 オン・ソンウ、イ・ギュヒョン、ユ・アイン

雑誌「CINE21」に、映画「ソウル・バイブス」のメインキャスト5人が登場!

ソンウ君はユ・アインさん&イ・ギュヒョンさんと共に、映画の時代背景である80年代に関するトーク世代差トークを繰り広げました。
そのインタビュー内容を全文和訳してお届けします!

元記事はこちら

あの日あの時の
感じをそのままに

あの日あの時の感じをそのままに

―最近のユ・アインは「ユ・アインがこんな作品を?」と気持ちよく驚かせてくれるような選択をしていますね。「ソウル・バイブス」に喜んで参加した理由は?

アイン:わりと若い時期に真面目な作品をたくさんやりました。愛情というか、ともすると執着もあったんです。俳優としての本質に集中しながら、同年代の俳優があまり見せることのできなかった姿を見せ、演技や作品で認められる俳優になろうと努力しました。
ところが、むしろ歳を重ねながら柔軟になったし、考えが軽くなったんです。深刻すぎる方向に行くよりは、共に楽しめる作品を選ぶ余裕が少しずつ生まれました。
今回の作品はアクション映画、娯楽映画でありながら、パンクファミリーのチームワーク自体が映画のエネルギーであり特色。若い頃から先輩方と多くの作品をやってきたので、同年代の俳優と友人のように楽しく関われる作品をやりたいという意志も強かったですね。

―劇中で具体的な年齢は出てきませんが、イ・ギュヒョンさんはパンクファミリーの暗黙の最年長では?

ギュヒョン:(ソンウを見ながら)実際はジュンギと同じです。干支だけね(笑)。ですが友人のように、本当のファミリーのように楽しく撮影しました。僕はただキャストを信じて出演を決めました。
パンクファミリーだけでなく、ムン・ソリ先輩、キム・ソンギュンさん、オ・ジョンセさんとご一緒できる機会がいつあるでしょうか。キャスト陣が新鮮で面白かったですね。

アイン:キャラクターの歳も違うし、僕とユニ(パク・ジュヒョン)は劇中で兄妹関係ですが、友達のような面が強く出ればいいなと考えました。
台本ではボクナムのことをずっとヒョンと呼ぶんですが、実際にそう呼んだのは1、2度だけです。歳に関係なく、気軽に「おい!」と言える関係でしたから。

―偶然にもオン・ソンウさんは(先に撮影した)「人生は美しい」に続き、「ソウル・バイブス」でもレトロな魅力を発揮していますね。思い出を呼び起こす作品に相次いで選ばれた理由は何だとお考えですか?

ソンウ:僕だけそう思っているかもしれませんが、見た目が素朴で地味だからだと思います。素朴で地味という言葉が好きでもあるし…

ギュヒョン:(アインと共にありえないという風に笑い声を上げながら)なんでまたそんな考えを?

アイン:地味じゃなくて古典的な美男子のような彫りがあるよ。同時に今っぽい雰囲気もあるし。今どき何を謙遜してんだ!(一同笑い)

ソンウ:「ソウル・バイブス」はその時代の雰囲気より、雑誌の表紙のイメージをそのまま表現したという感じが強かったです。なのでレトロな服、しかもオールドヒップホップのように着ているという感じもあまりしませんでした。新時代のニュートロを超えて、また違う感じというか。
なのでパンクファミリーの5人が集まった時、ありそうなのに見たことがない新たなビジュアルになり、新たな化学反応が生まれた気がします。

―お三方とも本作の背景である1988年の当時、とても幼いか、まだ生まれていませんでしたよね。なので、記録映像や「応答せよ1988」などで再現された当時の様子を見て、1988年の韓国のイメージを思い浮かべたかと思いますが。

アイン:1988年といえば「双八年(※1)」の雰囲気がまず思い浮かびます。時にはネガティブに、時にはレトロな感じに使われる表現です。政治的、経済的、社会的に急変する激動の時代だったという程度に理解し、当時の若者と中年の人々の格好を想像しました。映画は彼らの衝突を、劇的でジャンルの型にはめた形で描写します。
実際、パンクファミリーは理想的な夢を追い求めはしません。「何はともあれカネが最高」とお金そのものに向かって疾走し、見た目を重視していますが、彼らが大切にしている友情と情熱はいつの時代も同じです。

※1:「双八年」は、韓国で「往時の」「昔の」という意味を持つと共に、「時代遅れの」というニュアンスもある言葉。日本でいうところの「昭和っぽい」というニュアンスに近い。

ソンウ:80年代のダンスの映像を見て、初めてその時代を知りました。抑圧に立ち向かい闘うヒップホップが、ある者にとってはダンス、またある者はグラフィティ、またある者にとってはDJとなって、ヒップホップ文化が盛んになっていきました。
なので、僕にとって80年代といえば抵抗が思い浮かびます。劇中でパンクファミリーもやはり、年上の世代に抵抗して立ち向かい闘いながら、言うべきことは言うんです。

ギュヒョン:88年ソウルオリンピックをはっきりと覚えています。韓国年齢で6歳の時、つまり満4歳の時に、父に開幕式を録画しろと言われました。なのでビデオテープの再録画ができるように四角い穴にティッシュを詰めた記憶が、僕にとってはとても特別なものでした。
それ以降は叔父が高2の時にアコースティックギターを弾いていた記憶があり、父と一緒に車に乗りながら、たまに学生たちのデモを見ることもありました。僕にとって80年代は、父の車の後部座席に乗り、車の窓を通して見ていた世界です。

アイン:オリンピックというのが本当に象徴的です。僕は1996年のアトランタオリンピックの開幕式を思い出します。テレビが最も力のある媒体だった頃、全人類の祝祭がメディアで紹介される、その大騒ぎの様子そのものが脳裏に焼き付いています。
80年代は全く思い出せませんが、90年代にソナタ、グレンジャーなどの自動車で人々の階級を区分していた記憶はあります。そう思うと、80年代はどれほどそういう傾向が強かったのだろうと思わずにはいられません。
Youtubeでも復元された映像で80年代を見ることができますが、当時は成人ではなかったので、俳優として推測できる限りを推測し、思い出せる限りを思い出しながら、作品のジャンルに合わせる形で表現しました。
真面目でしっかりした作品ではないのであれば、歴史は新たに再解釈できる余地を残さなければなりません。そのような面で、何が正解だと言うことはできません。
「ソウル・バイブス」は、当時は開発途上国だった韓国が88年オリンピックを通じて変化を図った社会性を、シネマティックに強烈に表現してこの時代に再び光を当てました。作品のジャンルの特徴に合うように1988年を再解釈し、その時代にアプローチしたわけです。
「ソウル・バイブス」だけの視点、僕らの"見栄え"を、娯楽映画として楽しんでいただければと思います(笑)。

―カーチェイスシーンで各自が持つ特技がありますよね。ドンウクは運転の腕がピカイチで、ボクナムは道を知り尽くした"人間カーナビ"であり、ジュンギは機械に強い。
セリフで説明される部分以外で、キャラクターの特徴を演技で見せるために、どのように分析しましたか?

アイン:ドンウクの熟練した運転を演技で見せようとすると、すごく力んでしまいます。むしろ撮影が進む中で、問題が少しずつ消えていきました。熟練者であるほど、むしろハンドルを軽く握ってチョチョイとやるんじゃないか? 運転が上手く見えるような演技は、まあ…やたらと眉間にシワを寄せること(笑)。

ソンウ:ジュンギは機械に強いというよりは、自動車の部品の一つひとつを愛する、ファンキーな情熱があるキャラだと考えました。車はジュンギにとって、幼い頃から遊び場でした。一緒に遊んでいたお兄さんたちのおかげで車も好きになったので、純粋でためらわない末っ子の感じを出すことを心がけました。

ギュヒョン:最初のカーチェイスシーンの撮影場所が忠武路でした。僕は東国大学の出身なので、路地の間にある道をほぼ知っていました。地図を広げたんですが、新羅ホテルまでの最短ルートが頭の中で絵のように浮かんできたんですよ。思いがけず楽にキャラクターにアプローチできました。

アイン:地図を見て道を調べる概念がない世代は「人間カーナビって一体何?」って思うんじゃないかな。

ギュヒョン:(アインとソンウに)地図で道を調べたことある?

アイン:すごく小さい頃に母親の車で隣に座って地図を見ましたね。

ギュヒョン:僕は除隊したばかりの頃に自転車で全国一周した時、地図を持っていったよ。

ソンウ:でも地図だけ見て道を調べるのって出来るんですか? 何百メートル先を右折だとか教えてくれないのに。

アイン:これが最近の子だよ〜!(一同爆笑)

ギュヒョン:(親切に)地図に比率がある。地図の1cmが実際の何メートルにあたるのかが出るんだ。そして地図に書いてある道路番号と表示板を照らし合わせて、どこで右折すべきかが分かるというわけだよ。

ソンウ:僕らの世代はナビを使うのが基本になっているので、よく知っている道でナビがいらないのに使う時があります。そうしてこそ安心できるので。それくらい当然のものなんです。

アイン:ボクナムに関しては、これから起こることを想像する面白さも相当ありました。20〜30年後にはこんなことも出来るんじゃないか? ギュヒョンさんのアドリブや監督と相談しながら、たくさん付け加えましたよね。

ギュヒョン:現代(ヒョンデ)自動車が最高なのか起亜(キア)自動車が最高なのか言い合えば(※2)、「知らないのか、この2社は合併するかもしれないぞ」とか「ジュンギ、いつか電気で動く車が作れないか?」って聞いたりとか(笑)。

※2:現代自動車と起亜自動車は、韓国の有名な自動車メーカー。起亜自動車はかつて韓国で第2位のメーカーだったが、1998年の経営破綻により現代自動車の傘下に入った。

―カーアクションはアクションだけに、乗る人のリアクションが重要ではないですか?

ギュヒョン:遠心力を表現する演技は、本当に頭がこんがらがりました。車の方向が変わる時、体が右と左のどちらに行かないといけないのかを聞いて。

アイン:現場では本当にバカみたいな話をしながら撮影していたんですけど(笑)。

ソンウ:後部座席は広さがすごくあって、体が行ったり来たりする幅がとても大きかったです。なので時々、画面の外に消えることもありました。

アイン:すっごく疲れただろうね。前の座席を撮る時は常に後ろにジュンギが映っているから。すごく辛かったでしょ。訴える機会をあげるから、ほら(笑)。

ソンウ:前の座席に手をかけたら、手が画面に映るから撮るたびにずっと手をつかんでいないといけないんです。うーん…幸せでした〜!(笑)

―グリーンバックで撮ったクロマキー合成には見えませんでしたが、カーアクションはどのように撮影したんですか?

アイン:韓国映画としては初となるバーチャルプロダクションを行いました。(「ソウル・バイブス」は大きなLEDディスプレイに背景となるCG映像を映し、それを見ながら自動車に乗った俳優が演じる方法で撮影された。)
やはりグリーンバックで撮るよりも簡単だなと思うところがありましたね。アトラクションに乗るように自動車の動きを捉えるモーションベースという装置の助けも大きかったです。新たな技術を体験できたということ自体がとても貴重な経験でした。

―映画に収められる風景も一緒に確かめたでしょう。ソウル駅、南大門、乙支路など、レトロに再解釈されたソウルを俳優としてご覧になって、いかがでしたか。

アイン:「ソウル・バイブス」においてソウルは単純な背景としてではなく、それ自体が強力な要素として作用し、映画の前面で視覚的な楽しさをもたらしてくれます。それ自体が主人公ということです。
実際、撮影の中盤まではYoutubeなどで見ていたイメージを想像して臨むしかないという時間が多かったんですが、撮影後半にバーチャルスタジオに入ると、こういう映画になるんだろうなと当たりをつけることができました。そして最終的に完成したものに背景が全て入っているのを見て、安堵感が生まれました。

ギュヒョン:一昨日、試写があったんです。撮影当時に僕たちが乗っていた車、着ていた服、僕らの演技に背景がついていて、当時の雰囲気がどう蘇ったのかを確認して感嘆しました。実際の1988年を覚えている方が見れば、とても懐かしくなるでしょう。時代を振り返る楽しさがあると思います。

ソンウ:完成したものを見て感じたのは、僕は昔の時代背景が好きなんだなだということです。実際にその時代を生きてはいませんが、温もりを感じます。僕が昔といえば2000年なんですが…(「2000年は最近では」と周りがざわつくと)誰かにとっては最近ですが、僕にとっては非常に懐かしい昔です(笑)。
2000年代の中盤頃…小学生だった時に友達と遊び回っていた町へ時折行ってみると、不思議なくらい当時のままなんです。でも小さい頃に大きく見えた役場が、今はとても小さく感じられます。どうしてこんなに変わらないのか、郷愁に浸らせるような力があります。完成した「ソウル・バイブス」を見た時にも、そんな温もりを感じました。
楽しさ満点のアクションとユーモア、そして1988年という時代背景が調和しているのを見て、胸がじいんとする温かさと快感が一緒に感じられました。

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